旧約聖書から神の愛をあなたへ
福音伝道教団
葛西福音キリスト教会
「父親的愛は真理を喜ぶ」
葛西福音キリスト教会説教20201108
1.テキスト「第二サムエル記１３章14から２２節」
2.タイトル「父親的愛は真理を喜ぶ」
「不正を喜ばずに真理を喜びます。」
4.本文「父親的愛は真理を喜ぶ」
社会心理学や精神分析研究家のフロムは成熟した人間の特徴として、母親的良心と父親的良心とを併せ持っていると述べています。
「母親的良心は言う、『おまえがどんな過ちや罪をおかしても、私の愛はなくならないし、お前の人生と幸福にたいする私の願いもなくならない』。(それに対して)父親的良心は言う、『おまえが間違ったことをした。その責任を取らなければならない。何よりも、私に好かれたかったら、生き方を変えねばならない』。」と。(愛するということ １９５６年出版 より)
果たして、私たちは成熟した人間でしょうか。学校や会社、資格にはなんらかの成熟を測るテストがあります。しかし、私たちが大人になる、また子どもの親になるためのテストはありませんね。資格がないと問題になるのは、無免許運転だけではないのです。
① 「精神分析学者と神が語る『真理』
先のことばを残したエーリヒ・ゼーリヒマン・フロムは、フロイトの精神分析を社会的性格論で結び付けた新フロイト派とされます。彼によれば、子どもは父親に正しさの象徴であることを望んでいます。子どもは父親が愛情を注いでくれないことよりも、矛盾したことを平気で行うことに深く傷つくのです。たとえば父親の女性関係が露呈したとき、特に息子は母親を愛していない父を憎むのではなく、母親と家族を裏切った不正行為に腹を立てます。子どもが父親に深く傷つくのは「愛が足りない」からではなく、「不誠実」だからである」と。
ですから私たちは、成熟した人間として誠実を、特に子育て中のご両親には求められるのです。もし、相手が子どもだからと不誠実を、ウソとヘリクツでなんとか繕う子育てをするなら、子どもの心に深い傷をつけることになるでしょう。そして、それは親も子ども自身も、後になってからそのツケを払うことになるのでしょう。
しかし、聖書は、神に造られた人間は完成された者であると言います。
「神はお造りになったすべてのものを見られた。見よ。それは非常に良かった。」
それは、私たちが神のかたちに造られたがゆえに完成された人間だったからでした。しかし、同時に聖書はすべての人が真理を持たない未成熟な罪人だと言います。
(ローマ人への手紙3章10節)「義人はいない。ひとりもいない。」
ですから、私たちはイエスの十字架を信じ、自分の罪の問題を解決していただく必要があるのです。そして、神を礼拝し、神と共に生き、完成される望みに生きることができるのです。
「あなたがたのうちに良い働きを始められた方は、キリスト・イエスの日が来るまでにそれを完成させてくださることを私は堅く信じているのです。」
先日の続きですが、父ダビデ王の王位後継者であったアムノンは、ダビデ王の大きな期待を受けていたことでしょう。しかし、アムノンはタマルに大変な罪を犯してしまいました。そしてその結果の責任をアムノンは取ろうとせず、逆にタマルにかぶせようとします。
「ところがアムノンは、ひどい憎しみにかられて、彼女をきらった。その憎しみは、彼がいだいた恋よりもひどかった。アムノンは彼女に言った。『さあ、出て行け。』」
まさに、先週お話ししたように「何かに依存するすべての愛は、もしその物がやめば愛もやむ。もし何物にも依存しなければ、いつまでも絶えない。」と。条件付きの愛はむなしく、愛が怒りとなるのです。アブシャロムは妹タマルを辱めた長兄アムノンを憎みました。しかし、冷静に対応し、妹タマルを諭し、事を荒立てないようにと。おそらく、父ダビデがアムノンを正しく裁いてくれると思っていたからでしょう。アブシャロムはその怒りを父の正しい裁きに委ねました。彼は個人的な復讐よりも、父の正しさに委ねました。それがアブシャロムの父ダビデへの愛でした。アブシャロムは、父ダビデ王が王位継承権を持つ跡継ぎの長男アムノンを特別扱いせず、タマルを辱めた罪を正しく裁いてくれると信じていたと思われます。
さきに少し触れましたが、子どもへの父の愛は「正しい裁き」によって証明されます。子どもは父の愛を正しい裁きによって経験するのです。聖書もこのように言います。
(第一コリント人への手紙１３章６節)「不正を喜ばずに真理を喜びます。」
過ちを正さないのは、愛ではないのです。不正を見過ごすことは、愛ではありません。愛は真理を喜ぶのです。真理を尊び、そして喜ばない父は子どもからの愛を失うのです。
聖書の神は私たちにキリストの十字架を通して、信仰により、罪を赦してくださいます。それは「ありのままの私たち」を十字架の贖いのゆえに受け入れてくださる神の愛です。まさに母親的な愛です。しかし、それだけではないと聖書は教えます。
「主はその愛する者を懲らしめ、受け入れるすべての子に、むちを加えられるからである。」
神は愛する者に懲らしめを与えられるのです。それは神が新しくされた私たちに対する、新しい人としての生き方、夢、ビジョンを持っておられるからです。このように生きてほしいと。このようなクリスチャンであってほしいとの願いからです。
同じように、子どもも自分が過ちを犯したとき、「おまえは間違ったことをした」と責められることで父の愛を確かめると言われています。また、聖書はこのようにも言っています。
「もしあなたがたが、だれでも受ける懲らしめを受けていないとすれば、私生子であって、ほんとうの子ではないのです。」
本当の愛する子であるがゆえに神は、そして父親的愛は子どもに真理を求めるのです。
子どもには二つの愛が必要ですと、これまでも述べてきました。しかし、それは父と母のそれぞれの専売特許ではありません。父親にも母親にもそれぞれに、父親的愛と母親的愛が子育てに求められます。それは神の中に父親的、母親的愛が見られるのと同じです。また、シングルマザー、シングルファーザーのご家庭ではお一人で二つの愛で子どもを愛するとか。また親戚のおじさん、おばさん、児童館のお兄さん、お姉さんの助けも良いと思います。しかし、学校の先生にすべてを丸投げするのはあまりよくないと思いますが。
祈り(勧め) 「父親的愛は真理を喜ぶ」
① 第一に、まだ、イエスの救いを信じておられない方へ。どうか、イエスの十字架をご自分の救いのために信じてください。そうするならば、あなたの成熟を妨げていた罪の問題が解決し、あなたの人生に喜びと恵みが訪れることでしょう。
② 第二に、今、子育て中の皆さんへ。どうか、イエスを信じ、イエスを礼拝する人生に生きてください。そうするならば、皆さん自身がまず未成熟な人から成熟しつつある人に変えられ、そして子どもたちの成長に必要な愛とふさわしいことばが備えられることでしょう。
③ 第三に、もうすでに子どもたちが大きく育ってしまったという皆さんへ。私には関係ないと言わず、どうか、神の母的愛と父的愛についてしばらく考え、そして祈ってください。そうするなら、神が私たちに望んでおられる成熟への導きが与えられ、また、巣立った子どもからの子育ての相談にも必ず、ふさわしい神の知恵が与えられることでしょう。