葛西福音キリスト教会 聖書のお話し 2021年5月9日(日)
1.テキスト「第二サムエル記15章7~14節」
2.タイトル「ダビデの涙、和解の難しさ」
3.中心聖句「第二サムエル記15章30節」
「ダビデはオリーブ山の坂を登った。彼は泣きながら登り、
その頭をおおい、はだしで登った」
序)「子育ての難しさ」
ある牧師は、第二サムエル記15章からこのように言っていました。「敵には勇敢に立ち向かったダビデが、息子アブシャロムにはあまりにも弱腰であったことは、多くの父親にも共通している」だろうと、外部の問題には勇敢に立ち向かうのに、家庭内、特に子どもの問題と向き合おうとしない。そして例えば、子どもが問題を起こすと一方的に母親を責めるとか。また、妻から助けを求められても仕事に逃避する父親とか。子どもが父を最も必要とする時、父の存在は不在であると。本日のテキストから、私たちはダビデの涙の理由を知り、そして、イエス・キリストの十字架が与えてくださる和解について考えたいと願います。
本日のテーマ)「ダビデの涙、和解の難しさ」
Ⅰ.「アブシャロムの反乱」
アブシャロムはエルサレムに戻ってから、四年が経過したとき、彼は親子の関係を形式的、表面的に取り繕う父ダビデ王への復讐を決行します。アブシャロムはイスラエルの十二部族のリーダーたちのもとへ使いの者を遣わし、自分をイスラエルの新しい王として認めるように説き伏せるのでした。
アブシャロムとダビデ王は表面的には親子の和解をしています。
「第二サムエル記14章33節」
「アブシャロムは王のところに来て、王の前で地にひれ伏して礼をした。
王はアブシャロムに口づけした」
しかし、それがどれだけむなしいかは和解後のアブシャロムの行動に、すぐ現れます。
「第二サムエル記15章1節」
「その後、アブシャロムは自分のために戦車と馬、
それに自分の前を走る者五十人を手に入れた」
人間同士の和解は難しいものです。夫婦でも親子でも、口では何とでも言えますからね。その結果は何をもたらしたのでしょうか。
Ⅱ.「ダビデの逃走」
アブシャロムが謀反を起こしたとの知らせをダビデが聞いたとき、
「第二サムエル記15章14節」
『そこでダビデはエルサレムにいる自分の家来全部に言った。「さあ、逃げよう。そうでないと、アブシャロムからのがれる者はなくなるだろう。すぐ出発しよう。彼がすばやく追いついて、私たちに害を加え、剣の刃でこの町を打つといけないから」』
ダビデには王宮から急いで逃げ出すしか選択肢がありませんでした。王宮から逃げ出すダビデには、かのペリシテ人の最強兵士ゴリヤテに、ヨロイも着けずに石投げの道具一つで立ち向かった少年ダビデの姿はありませんでした。あの、ペリシテ軍に対してイスラエルの歴史的勝利をもたらした勇者ダビデの面影はありませんでした。もちろん、エルサレムを戦いの場にしたくなかったとの思いもあったでしょうが。自分の血を分けた子、アブシャロムに対して父親として何もできない結果としての逃走が始まるのです。そしてダビデは涙を流します。
「第二サムエル記15章30節」
「ダビデはオリーブ山の坂を登った。彼は泣きながら登り、その頭をおおい、
はだしで登った。彼といっしょにいた民もみな、頭をおおい、泣きながら登った」
ダビデは息子アブシャロムにいのちを狙われ、王宮から逃げ出し、オリーブ山の坂を、涙を流しながらはだしで登ります。かつて初代イスラエルの王サウルの嫉妬を買い、いのちを狙われた時も着の身着のまま荒野へと逃亡しましたが、涙を流すことはありませんでした。この時のダビデの涙には、どのような意味があったのでしょうか。
Ⅲ.「神が備えて下さる和解」
聖書はいつでも、私たち人間の罪や弱さ、愚かさを指摘します。そしてその唯一の解決として、イエスの十字架を私たちに教えています。それは私たちにはイエスの十字架を通して、罪の赦しときよめによる神との和解が必要だからです。私たちは罪の問題がある限り、神とはもちろん、人との和解もできないのです。ここにダビデの涙の理由があるのです。
「第二コリント人への手紙5章18節」
「神は、キリストによって、私たちをご自分と和解させ、
また和解の務めを私たちに与えてくださいました」
この神との和解により、私たちは義認の恵みと聖化の恵みを約束されるのです。そして神との和解は、皮膚の色、性、社会的身分、文化的背景などの区別によって生じる敵意でさえも、キリストにあってひとつのからだとしての一致、人間同士の和解に私たちを導きます。
勧め)「ダビデの涙、和解の難しさ」
私たちもダビデのような親子について、夫婦について、またそれ以外の人間関係について、涙を流すこともあるのではないでしょうか。しかし、聖書は私たちにイエスの十字架を通しての神との和解を教えてくださっているのです。どうか、イエスの十字架を信じて神と和解し、そしてあらゆる人々との和解の恵みにあずかってください。
また、既にイエスの十字架を信じておられるクリスチャンの皆様。私たちは「和解の務め」を与えられた者として、どうか福音のために祈り、働いていただきたいと願います。
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