葛西説教20220904③

1.タイトル「愛という完全に至る道」

2.テキスト「マタイ5:43-48」

3.中心聖句「マタイ5:48」

「あなたがたは、天の父が完全なように、完全でありなさい」

4.本文「愛という完全に至る道」

　序）アンパンマンの愛

　先週はイエス様の教えから私たちが地の塩、世界の光であることを学びました。本日も山上の教えの中から学びましょう。

　皆さんも、アンパンマンのことは知っていますよね。アンパンマンは、悪いことをするバイキンマンをやっつけます。でもそれは、何とか悪いことをやめてほしいからです。また、弱っている人たちには、顔を半分あげるほど、優しいですね。

本論）「愛という完全に至る道」

Ⅰ.「神様の愛」

　しかし、イエス様は、アンパンマン以上です。悪いことをする人たちを愛して、その人たちのために命をささげられました。イエス様は十字架の上で、「父よ彼らをおゆるしください」と祈られたのです。

　私たちの神様は愛の神様です。ひとり子のイエス様を私たちに与えてくださるほど、私たちを愛してくださっているお方です。しかも、その愛はすべての人に注がれている愛です。その十字架が現わすのは、たとえご自分に背中を向けている人であっても、神様はいつでも変わることのない愛をもって、ずっと愛してくださるということなのです。イエス様は教えられました。父なる神様は分け隔てなくすべての人に太陽を上らせ、雨を降らしてくださっていると。ここに世界中のすべての人を愛される、神様の大きな愛が明らかにされています。

Ⅱ.「敵を愛する愛」

　イエス様は「敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい」と教えられました。このことばを素直に受け入れられる人は少ないのではと、私は思います。聖書の話を教会で聞いて学ぶことは一見簡単ですが、それを家に帰って、学校に行って、会社で実際に行うことに困難を覚える人は多いのではないでしょうか。もし、意地悪されたら、嫌なことをされたらムッとする、そのような思いになったことはないでしょうか。でも、イエス様は「愛しなさい」、「祈りなさい」と教えられたのです。

　そして、イエス様はただことばだけで教えられたのではなく、ご自分から身をもって私たちに教えてくださいました。先に語りましたが、イエス様が十字架にかかられたとき、「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです」と祈られたのです。十字架にかけられ、痛みと苦しみにあるイエス様をあざけり、さらに苦しめる人たちを愛し、とりなしの祈りをされたのです。聖書は教えます。

「キリストは、私たちのために、ご自分のいのちをお捨てになりました。それによって私たちに愛がわかったのです」（Ⅰヨハネ3:16）と。

　ですから、私たちがイエス様の愛を知るとき、私たちは敵を愛し、祈ることができるのです。

Ⅲ.「愛という完全に至る道」

　イエス様は「完全でありなさい」と教えられました。これは神様のように何でもできるようになりなさいということではなく、十字架に現された神様の愛、すべての人を愛してくださる神様の愛をいただいて、まわりの人たちを愛する人になりなさい、という教えなのです。先週の「塩」と「光」とも通じる教えです。

　戦時中のお話ですが。アメリカから来られた宣教師のコルベ先生は、太平洋戦争中に日本を追われてフィリピンに逃れました。しかし、誤解されてスパイの容疑をかけられ捕虜となり、日本軍によりご夫人とともに処刑されました。この知らせをアメリカで聞いた娘のマーガレットは、当然のごとく日本を憎みました。

　しかし、クリスチャンであった彼女は、祈りの中で父の日本人への愛、そしてイエス様の十字架の愛がしめされて悔い改めたそうです。その後、彼女は捕虜収容所の日本人のためにボランティアとして働く、愛の人へと変えられました。

Ⅳ.勧め「愛という完全に至る道」

　イエス様は教えられました。「あなたがたは、天の父が完全なように、完全でありなさい」（マタイ5:48）と。わたしたちも、十字架のイエス様の愛を深く知ることができるように、そしてどんな人でも愛することができますようにと祈りましょう。神様は必ず、私たちの祈りに応えてくださり、私たちに愛の心を与えてくださいます。